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「俺、タコ買ってくるから、残りはよろしく。」
天野が言い終わった瞬間に、すかさず秋山が言った。
「はぁ?俺の負担、重くない!?タコ以外って、分担おかしいだろ!」
秋山に抗議したつもりだったのに、天野から返ってくる。
「うるせー、タコ焼きはな、タコがメインなんだよ!タコが主役なんだよ!意味的な割合でいったら同じくらいだろ。」
「いや、量的な問題を言ってんだよ!俺だけ、両手いっぱいで手真っ赤になるわ!」
そう天野に言うと、今度は秋山から言われる。
「しょうがないだろ?俺たち3人しかいないんだから。」
「3人?パーティー3人でやる気だったのかよ?」
「でも、あと5分で誰か呼んでも来るか分かんないしなー。」
「というか、さっきから気になってたけど、俺たちは集まってる前提だったの!?」
俺のその言葉を皮切りに、一拍の間が空く。天野と秋山はキョトンとした顔で一度、二人顔を合わせる。
「「当たり前でしょ。」」
二人はいたって真面目といった感じの落ち着いたトーンで、俺を見る。
・・・フッ
俺は思わず笑ってしまう。
「はい、ふざけたこと言ったから、罰な。タコもお前が持ってこい。」
秋山が言った。
「おい、ズルいぞ。お前が手ぶらになりたいだけじゃねーか。だったら、俺の方を手伝えよ。」
天野が不満を垂れる。
「わかった、わかった。それなら、俺、駅前のタコ焼き買っていくから。」
「それじゃ、タコパが台無しだろうが!」
「俺は菓子パの方がいいなー。」
二人で言い合う中に俺も混ざる。
「「それはない。」」
「二人して全否定。」
「だから、俺がタコ焼き買ってくるからさー。」
「タコ焼き買う暇なんかないだろ!」
「はぁ?タコ焼き屋はタコ焼きをくるくるすることに人生をかけて、、」
ふと、時計に目をやる。時刻は6時前、あと5分で短針と長針が一直線になり、今日の学生生活の終わりを告げるチャイムが鳴るところだった。
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