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1、ロクデナシ
「良い子でいなければならない」
わたしは、いつの頃からかそんなことを考えるようになった。
そもそも、『良い子』ってなんだろう。
他人に囲まれて、礼儀正しくて、いつも笑顔でいる人は、『良い子』なんだろうか。
もしそうなら、そんな人生さっさと終わりにしたい。
チラチラ他人の顔見ながら、へらへら生きていくって、凄く大変だし、窮屈だ。
だって、今のわたしがまさにそうなんだから。
わたし…鬼柳薫子は、いつも人に合わせて生きてきた。
小さい頃から、人が嫌がることはしなかったし、言わなかった。
「薫子ちゃんは良い子だね」…そう言われるのが嬉しかった。
だけど、そんなの結局は自分を良く見せたいだけだ。
心の中では、上手いこと言えないんじゃないかとか、嫌われたんじゃないかとか、常に葛藤していた。
その為に、見たくないTV番組観て、興味ない音楽聞いて、必死に周りと歩調を合わせてきた。
何時しかわたしは、『良い子』から『都合の良い子』になっていた。
耳触りの良いことしか言わない。
決して否定しない、意見もしない。
誰からも、都合よく扱われる便利な人…それが、18年の人生で得たわたしの評価だった。
本当は、今すぐやめたい。
空気なんて読みたくない。気なんて遣いたくない。
だけど、嫌われるのは怖い。
がんじがらめになりながら、わたしは毎日過ごしていた。
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