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わたしはすぐに動き始めた。
まず、悪の組織に入りたいってことを、ちゃんと両親に話した。
お母さんは反対したけど、お父さんは「自分でよく考えなさい」と言ってくれた。
どんな仕事も、憧れだけじゃ出来ない。
やりたいと思ったなら、どんなことをしているか、今から何が出来るのかを知るべきだと、後でお父さんはこっそり教えてくれた。
普段、お父さんは無口で何を考えているかよく解らない。だから、色々と心配してくれるのが新鮮で、何より嬉しかった。
まず、わたしは悪の組織について調べ始めた。
主な仕事に必要な資格、勤務体制に給料…。解らないことやシャドウアーク独自の企業形態については、おじさんが教えてくれた。
勿論、学校の勉強も手を抜かなかった。
元々成績は悪くなかったけど、更によくなった。将来世界征服するんだから、高校の勉強ぐらい出来なきゃね。
対決の現場にも、何度も足を運んだ。
戦闘員さん達の動き、怪人さんの立ち回り、よくよく見ると何もかも計算されていて、決して闇雲に戦っている訳ではないことが解った。
それは、魔法少女も同じ。
この頃になると、笑里とも打ち解けて、二人で立ち回りの研究をしていた。
忙しかったし、大変だったけど、とても充実していた。
この日々は、きっとさゆりがくれたんだ。
あいつはいない。
将来、黒い薔薇も届かない。
だけど、あいつはいつまでもわたしの物だ。
わたしが世界を征服したら、あいつに黒い薔薇を贈ってやるんだ。
あんたが生きてていい世界になったよ、って。
そして、めぐるましく季節は流れて、わたしは高校を卒業した。
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