6、終わらない歌

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 わたしはすぐに動き始めた。  まず、悪の組織に入りたいってことを、ちゃんと両親に話した。  お母さんは反対したけど、お父さんは「自分でよく考えなさい」と言ってくれた。  どんな仕事も、憧れだけじゃ出来ない。  やりたいと思ったなら、どんなことをしているか、今から何が出来るのかを知るべきだと、後でお父さんはこっそり教えてくれた。  普段、お父さんは無口で何を考えているかよく解らない。だから、色々と心配してくれるのが新鮮で、何より嬉しかった。  まず、わたしは悪の組織について調べ始めた。  主な仕事に必要な資格、勤務体制に給料…。解らないことやシャドウアーク独自の企業形態については、おじさんが教えてくれた。  勿論、学校の勉強も手を抜かなかった。  元々成績は悪くなかったけど、更によくなった。将来世界征服するんだから、高校の勉強ぐらい出来なきゃね。  対決の現場にも、何度も足を運んだ。  戦闘員さん達の動き、怪人さんの立ち回り、よくよく見ると何もかも計算されていて、決して闇雲に戦っている訳ではないことが解った。  それは、魔法少女も同じ。  この頃になると、笑里とも打ち解けて、二人で立ち回りの研究をしていた。  忙しかったし、大変だったけど、とても充実していた。  この日々は、きっとさゆりがくれたんだ。  あいつはいない。  将来、黒い薔薇も届かない。  だけど、あいつはいつまでもわたしの物だ。  わたしが世界を征服したら、あいつに黒い薔薇を贈ってやるんだ。  あんたが生きてていい世界になったよ、って。  そして、めぐるましく季節は流れて、わたしは高校を卒業した。
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