夏、教室の片隅で

1/2
前へ
/69ページ
次へ

夏、教室の片隅で

 「暑い……暑すぎる……溶けるぅ」    ある街外れの森の横にある、色褪せて  所々カビとコケに浸食されている木造の中学校。  そんな中学校の教室の片隅の机の上でうな垂れている学生が一人。  オレは夏草 竹(なつくさ たけ)  ピカピカの中学一年生……と言っていいのかな?  どちらかと言うとクタクタの中学一年生だ。  なんせ気温30℃。 座っているだけで疲れる。  オレと言う人間はいつも気だるそうなオーラを  放ってるらしい(友達が言ってた)が、今日はこの暑さのせいで  オーラが強くなってる気がする……中二病みたいなこと言ってんなオレ。    「おー、相変わらずボッチしてるねぇ竹ちゃん」    そう聞こえたかと思うと、突然誰かに背中を  思いっきし≪バコンッ≫と叩かれる。    「……っ。少しは手加減してくれよハグサ」  「ぬわっはっは!! わりぃな竹ちゃん」  コイツは菅宮(すげみや) ハグサ  幼稚園時代からの付き合いの男友達で、やたらと距離感が近い。  面倒事を持ち込むことが多いので極力関わりたくないが、  憎めない。 不思議だなぁ。  「夏草君、おはよー!」  また声が聞こえたかと思うと、今度は冷たい何かが首筋にあたる。  「ンガッ! ちょっ、ホント止めてくれよ蓮まで……」    こっちは八道野 蓮(やじの れん)  蓮は中学に入ってから出会った。  入学当初はクラスの隅っこで一人ボーっとしてる系男子だったが、  声をかけてみたところ、中々気さくで陽キャだった事が判明。  それ以来何故かオレに懐いてしまった。   鬱陶しい時もあるが、弟みたいで可愛かったりする。  ちなみに身長(152㎝)が小さいため、  ハグサからは『チビ』と呼ばれている。  「ご、ゴメン。 暑いから涼しくなるかなぁって思って……」    この二人がいい例だが、オレの周りに集まってくるヤツは  個性的すぎるのが多いんだ。 この前なんかも……。  イヤ、この話は止めておこう。    「かぁ~っ、チビ。 お前そんなだから皆に鬱陶しいわんこって言われr」  「 あ゛?」    「ヤッパナンデモナイッス」    こんなやり取りはいつもの事。 定番、お決まり、世の常だ。   大体はハグサが蓮の逆鱗スレスレを触れて終わる。  蓮も怒らない辺り、なんだかんだ仲良いんだよな。  ヒューヒュー、夏なのにお熱いねぇ。  ……オレもなんだか熱くなってきたよ……体が。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加