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夏、教室の片隅で
「暑い……暑すぎる……溶けるぅ」
ある街外れの森の横にある、色褪せて
所々カビとコケに浸食されている木造の中学校。
そんな中学校の教室の片隅の机の上でうな垂れている学生が一人。
オレは夏草 竹
ピカピカの中学一年生……と言っていいのかな?
どちらかと言うとクタクタの中学一年生だ。
なんせ気温30℃。 座っているだけで疲れる。
オレと言う人間はいつも気だるそうなオーラを
放ってるらしい(友達が言ってた)が、今日はこの暑さのせいで
オーラが強くなってる気がする……中二病みたいなこと言ってんなオレ。
「おー、相変わらずボッチしてるねぇ竹ちゃん」
そう聞こえたかと思うと、突然誰かに背中を
思いっきし≪バコンッ≫と叩かれる。
「……っ。少しは手加減してくれよハグサ」
「ぬわっはっは!! わりぃな竹ちゃん」
コイツは菅宮 ハグサ
幼稚園時代からの付き合いの男友達で、やたらと距離感が近い。
面倒事を持ち込むことが多いので極力関わりたくないが、
憎めない。 不思議だなぁ。
「夏草君、おはよー!」
また声が聞こえたかと思うと、今度は冷たい何かが首筋にあたる。
「ンガッ! ちょっ、ホント止めてくれよ蓮まで……」
こっちは八道野 蓮
蓮は中学に入ってから出会った。
入学当初はクラスの隅っこで一人ボーっとしてる系男子だったが、
声をかけてみたところ、中々気さくで陽キャだった事が判明。
それ以来何故かオレに懐いてしまった。
鬱陶しい時もあるが、弟みたいで可愛かったりする。
ちなみに身長(152㎝)が小さいため、
ハグサからは『チビ』と呼ばれている。
「ご、ゴメン。 暑いから涼しくなるかなぁって思って……」
この二人がいい例だが、オレの周りに集まってくるヤツは
個性的すぎるのが多いんだ。 この前なんかも……。
イヤ、この話は止めておこう。
「かぁ~っ、チビ。 お前そんなだから皆に鬱陶しいわんこって言われr」
「 あ゛?」
「ヤッパナンデモナイッス」
こんなやり取りはいつもの事。 定番、お決まり、世の常だ。
大体はハグサが蓮の逆鱗スレスレを触れて終わる。
蓮も怒らない辺り、なんだかんだ仲良いんだよな。
ヒューヒュー、夏なのにお熱いねぇ。
……オレもなんだか熱くなってきたよ……体が。
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