串計4本、酒計3杯

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「ほら食えよ、腹減ってんだろ? 鳥頭」  ぐぅとお腹が鳴ったのが聞こえ、その脂ギッシュな顔が顔がにっちゃり歪む。 「誰が食うか。俺は豚以外を焼き鳥とは認めない」  そう言うと鳥頭はハイボールのメガジョッキを手に取り、喉に流し込んでいる。 「やせ我慢しちゃって」 「お前は少しは我慢した方がいいんじゃないか?」  それ、と豚野郎が鳥頭のお腹に指を指す。すると鳥頭は、ポンっと堂々たる面持ちで自身の腹を叩く。 「わがままぼでぇが羨ましいのか?」  我慢を知らない不摂生な身体の豚野郎が一本目を口に含みながら、牛乳ハイで流し込んでいる。 「お待たせしました、こちら豚串です」 「待ってました、こちら豚串でぇす」  鳥頭は店員から手渡しで受け取ると、そのままお返しとばかりに、豚野郎に見せつけるようにかぶりつく。そして引き抜くような動作で震える手をスライドさせて、豚串を頬張る。 「やっぱりやきとりは豚だなぁ」  もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ、とまるでガムを食べているようにずっと噛んでいる。やっと呑み込んだと思った時には豚野郎はとり串を2本平らげていた。 「「やっぱり焼き鳥は」」 「鳥だなぁ」「豚だなぁ」  とかいいながら豚野郎は鳥を、鳥頭は豚を食べている。かろうじて共食いは避けられている、というか、光景は憎き相手を滅ぼそうとしているように見える。これが弱肉強食か。いや、弱肉弱食。どんぐりの背比べ。目くそ鼻くそ。どっこいどっこい。要は、弱者の茶番だ。
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