第1章 時計の針が動く時に

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立花出雲は現在十五歳。私立東堂学園高等部に通う高校一年生である。数日前に入学式を終えたばかりであり、制服である紺のブレザーを着ながら地元の駅のホームにて電車を待っていた。 出雲は茶色かかっている髪色をし耳にかかる長さをしている。また、前髪は左分けで右側の方を左側よりも少し長めにしている。出雲は目鼻立ちがハッキリとしており、スタイルは悪くはなく痩せているが筋肉も適度に付いている。 出雲はスマートフォンの画面で前髪を確認していると、ホームに電車が入ってきた。出雲はその電車に乗り込むと、学校がある東堂駅まで乗り換えることなく到着するので空いている椅子に座り、ブレザーの胸ポケットに入れている懐中時計を取り出した。 「この懐中時計まだ動かないな……中学生時代に落っことしてから針が動かないんだよなぁ……」 出雲は溜息をつきながら懐中時計を見ていると、ふと昔に出会った女の子のことを思い出していた。 「あの子といつ出会えるんだろう……もう高校生になっちゃったよ……」 懐中時計を見ながら外を眺めると、スマートフォンにメールが届いた。そのメールは妹である愛奈からであり、愛奈からのメールにお弁当を忘れているよと焦っている顔文字と共に届いていた。 出雲は慌てて通学鞄の中を見ると、そこに入っているはずの弁当箱がなかった。出雲はやっちまったと額を抑えて溜息をつくと、昼食は購買で買うかと決めた。
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