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溜息をつきながら電車に乗っていると、三十分程度で降りる東堂学園駅に到着をする。東堂学園駅には東堂学園中等部、高等部、東堂学園大学の学生で溢れる学生街である。東堂学園駅の東側が学生街であり、逆に西側には会社街となっている。
出雲は学生であるため、東側から駅を出た。既に時刻は八時を過ぎようとしている頃であり、多数の東堂学園の生徒達が遅れまいと小走りで駅を出て行く。出雲もその学生達に続いて小走りで学校に向かうと、不意に肩を軽く叩かれた。
「よっ! おはよう!」
そう出雲の肩を叩きながらおはようと言うのは、出雲と同級生である遊馬大和である。大和は耳にかかるまでのショートヘアの横髪を刈り上げ、髪の束を作り髪型をセットしている。体格は出雲より多少ガッチリとしており、身体を鍛えていることがすぐ分かる。
身長は出雲と同じ百七十五センチであり、二人は入学式の日に隣同士の席に座って話したその時から友達になった。
「大和か! おはよう、今日も爽やかだな」
出雲は大和と並んで学校に向けて歩くと、次第に校舎が見えてきた。出雲達が通う東堂学園高等部は生徒数六百人を超すマンモス校となっており、様々な生徒達が通っている。
東堂学園は東堂学園大学まである一貫校であり、東堂学園中等部に入学した生徒はほぼ全員が東堂学園大学に進学をしている。出雲と大和は高等部からの入学組であり、高等部からの入学組は中等部からの進学組よりも多い。
「そんなに俺は爽やかか? そんな気はしないんだけど?」
そう出雲に言う大和の顔は目元がハッキリしており、眼力を感じる。顔周りがスッキリしており、眼力も相まってとても自信がある顔に見える。出雲は自身とは違う、自信を常に持っているその大和が羨ましいと思っていた。
出雲と大和が笑い合って歩いていると、東堂学園高等部が見えてきた。東堂学園は各学校独立した校舎があり、東堂学園高等部は長方形の地上四階建ての横長の校舎となっている。本校舎とは別に第二校舎や体育館、プールに校庭と各施設も備えている。
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