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部活は3時で終わったからさ
焼ける陽差しを抱き留めた
カーテンが緩く波を打つ
盛りを迎えた夏の私情に
耐えきれなくて滴り落ちる
甘いミルクの冷たい刺激を
柔な素肌で受け止めた
溶け出した冬のかたまりが
バニラの香る白蜜が
どこへ流れていくのかを
好きなようになぞらせてあげる
紅に染まる君の頬
動きを止める重ねた手
期待と不安に潤む瞳が
理性を失うその前に
冗談が好きな唇と
ためらわず濡れた舌先で
冷たく責める白い罰から
私の素肌をすくってみせて
部室の鍵は固く閉じたし
カーテンは君の味方なんだから
そんなに緊張しなくていいわ
そっと……流れを、導くように……
唇のはじに留めておけず
思わずこぼれた声の欠片が
シャボンのように残らず消える
最初で最後の呼び捨てだった
真夏日
午後4時
小さな部室
転校していく
君へのはなむけ
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