夏。住宅街。ツキちゃん。

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 ツキちゃんの向かった方向へ走ると後ろからどこへ行くんだとお兄さんも付いてくる。  そんなの一向に気にせずにそのまま神社の脇をくぐり抜ける。低木を掻き分けて葉っぱだらけになりながら向こう側へ顔を出すとツキちゃんがにっこり笑って佇んでいた。  最果て。神社の真裏はさびた手すりがあるだけで、足下は断崖絶壁だった。どういう造りなんだろう。疑問に思ったけれど、よくわからなかった。つま先から汗か震えかわからないぞわぞわしたものがこみ上げてくる。ツキちゃんは手すりの上に腰掛けていた。少しでも背中を傾けたら真っ逆さま。ツキちゃんが死んじゃう! けれど、あたしが動いたらツキちゃんはどんな行動を起こすか分からない。怖くなった。
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