夏。住宅街。ツキちゃん。

13/14
前へ
/15ページ
次へ
 ツキちゃんがゆっくりと重心を後ろへ落とす。鉄棒の後ろ回りをするみたいな気軽な感じで。  あたしはツキちゃんに手を伸ばす。  ツキちゃんはソレをあざけるみたいにさらに体を傾けて、それから消えた。手すりにもうツキちゃんはいない。  下を覗き込むと、真っ逆さまに落ちていくツキちゃん。綺麗な髪の毛が扇みたいに広がっている。ツキちゃん。  いつも閉じられている筈の目が、しっかりと開いていた。  笑顔を浮かべて。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加