0人が本棚に入れています
本棚に追加
まっすぐ進んで、それから右へ。左、真っ直ぐ、右、右、左。
「おい、そっちは神社しかないぞ」
お兄さんが後ろから声を掛けてくる。神社。そっか、神社かぁ。
ツキちゃんも不安そうにあたしの手を握る。お兄さんが怖いのか、あたしが黙ったままなのが怖いのか。
見上げるとずうっと遠くに階段が見えた。山に繋がっている階段。てっぺんに赤い鳥居が見えた。風にそよいでぱたぱた白い飾り紙が棚引く。丁度良い高さじゃないかな。
「ツキちゃん、神社行くよ」
「じん、じゃ」
「おういちびっ子。あそこは鳥居しかないぞ」
お兄さんの声を背中で受け止めてあの階段を目指す。真っ直ぐ、真っ直ぐ、真っ直ぐ。
最初のコメントを投稿しよう!