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「ちびっ子、本当に登るのか?」
「うん」
「ちびっ子、百段はあるぜ?」
「うん」
階段の前でてっぺんまで見上げているとお兄さんが心配そうに声を掛けてくる。うるさいなぁ。蝉の声と一緒にじわじわと入道雲も迫ってきた。ツキちゃんは穏やかな声であたしに声を掛ける。
「ヨルちゃん、大丈夫だよ。一緒に行こう」
「うん」
ぎゅうと手に力が入る。ツキちゃんは誰よりも素敵なこことを持っていた。それをあたしだけが知っていた。
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