読者感想文

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まずは一言、簡潔に。 感動した(小並感)。 もう何か表現しようがないくらいに感動した。 すげぇなって。敵わないなって。 自分も色々駄作を書いていて仲間内では少し評判良いくらいだけど、レベルが違う。 当たり前だけど。俺素人だし。 さて、本編の内容。 一週間毎に世界の記憶、歴史、事実から抹消される少女と、ちょっと変わった少年の恋模様。 最初のうちは少年視点で『見知らぬ少女』から声を掛けられるという起こし。 2話目で既に違和感を感じる。 そりゃそうだ。 『見知らぬ少女』と表現されても、傍観者である俺の目に映るのは1話目と同じ少女。 「時系列が戻ってたりするからその関係? 実は平行世界の同一人物?」 と、まぁ見当違いに混乱した。 混乱したまま読み進めて少女視点。 伏線回収されて、状況把握。 何つーか、重い。世界って残酷だね。 世界の理から外れるって聞くと他作品では 『超人類』とか、『天秤の守り手』とか、 「選ばれし者」感満載で幸福な感じだけど、 本作では違った。ただの人間で。 神の奇跡か、悪魔の悪戯か。 世界から爪弾きにされ、抹消され、ただただ不幸だった。側から見ればね。 「こんななら生き残らなければ」 「世界から忘れ去られて生きるくらいなら、修正する分の力で終わらせてくれ」 俺ならそうして絶望の果てに身を投げるさ。 でも少女は違う。俺みたいな弱い人間じゃない。 一人きりで生き延びた。 生き延びた果てに少年と出会い、希望を見つけた。 瀬川 春由 と 椎名 由希 春『由』の手に『希』望があれば、 その心の真ん中には『由希』が居る。 感嘆の声を漏らした。 冒涜する訳ではないけれど、それ以前に 由希の青『春』は生きる理『由』となった。 それは『春由』という名の『希』望。 なんて思ったり。失礼しました。 閑話休題。 葉月氏の技法にも目を見張るものがあった。 まず時系列を前後させる事による伏線展開。 これはその時点ではもどかしさを孕むものの、 後々「あの話のあの部分か!」となって補間されると嬉しくなる。 もう一つ、初歩的な事だが、 ネーミングのダブルミーニング。 由希の『雪』とか、宇美の『海』とか。 ん?…宇美? ……羽未…羽深…うっ頭が…。 そして何よりあのあとがき。 文章力の高さがうかがえる。 文字とルビの相互意味がヤバい。 うん、ヤバい(小並感)。 『彼女の事を何故だか知っている不思議な誰か(あなた)』とかね。 あとがきではないけどこれも。 見知らぬ誰か(大切な人) ——Hello(初めまして)。 “Hello(あなた),Hello() and(好き) Hello(です)„ ここまで読んできた読者だからこそ、心に刺さるルビ。 こうかは ばつぐんだ! ってなもんで。 長々と書いたけれどとりあえず。 この本はここまでしか綴られなかったけど。 『幸』を通じて春由へ届いた『由希』の願い。 (そう解釈したけれど) まだまだ先のありそうな『願い』と『希望』の物語。 一番良い所で終幕ってことで。 第3作は失敗しやすい、とも言うし(失礼)。 つまるところ、感動の名作だった。 以上、駄文でした。
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