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出逢い
眩しい日の光が差し込んでくるのが見える。
私には届かない。
ゆらゆらと揺らめいているだけ…。
彼もここに眠っているのだろうか?
懐かしく美しいあれが近付く…彼を思い出す。
彼は突然現れ私の心に棲みつき、そして…
水の泡の様に消えていった…。
彼に初めて会ったのは、くらげの水槽の前だった。
「美しい。」
彼も私も、ゆらゆらと儚くも輝くその生物が好きだった。
毎週彼は現れ、同じ言葉を口にする。
細い長い指をそっとガラスへ触れ、愛しそうに眺める...その姿が美しいと思った。
私も同じ様に手を触れ、くらげのふわふわと泳ぐ姿を眺める。
本当に美しい...。
彼らの優しい心音とは違う大きくなっていく心音を感じる。
「君も好きなんですか?」
「はい。」
2人はくらげの水槽の前で会う様になった。
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