人魚の来る洞窟

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「一度、お前も本物を見た方がいいぞ。」 蒸し暑い『民俗学研究会』の部室。 先輩はそう言うと封筒から一枚の紙を出してきた。 QRコードが一つだけ描かれたハガキ。 コードを読み込むと指定時間と会員番号が表示される。 集合場所は地方の水族館。 「年に一度行われる会員制のツアーでな。一回8千円だ。」 これでも学割で、本来なら一人3万は取られると先輩は言った。 「高いと感じるかもしれないが、それもモノを見るまでの話だ。」 …何しろだからな。 先輩は念を押すようにそう言った。
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