僕が贈るアイ

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僕が贈るアイ

 その次の日。何事も無かったように終業式を終え、夏休みに入った。  とは言え、部活はないし、かと言って誰かと何処かへ出かける気も起きない。いや、そもそも独りでいた僕なのだから、何かをしようにも出来ないという方が正しいのかもしれない。一方で、家にいると、何となく寂しさが残ってしまい、暇さえあれば適当に近所を歩き回っていた。  それでも、気付くとあの歌を口ずさんでいて、その度により悲しさが募る。  いつも隣にいた彼女がいないというだけでこれか。全く、みっともない。  勿論、連絡手段がないわけではないのだ。だが、彼女との連絡と言えば、前に小説を読ませて欲しい、と僕の小説のデータを強請(ねだ)られて送っただけ。以降、こっちから連絡はしてるのだが、返事は一度たりとてなかった。  時間は確かな悪意を持ち、僕の頭上を流れて行く。ふと気づけば、カレンダーを見てみれば夏休みももう中盤に差し掛かろうとしていた。だと言うのに、宿題とバイトばかりで、夏らしいことは何一つとして出来ていなかった。する気すらなかった。  こんなにも独りでいることが苦しくて、つまらないなんて思ったことはない。 いつもだったら(はかど)るはずのタイピングも、倍というどころじゃない程遅くなっている。  本当にどうしてしまったのか。  肺中に溜め込んだ空気を絞り出すかのように大きな息を吐き、ベットに飛び込むと、また惰眠(だみん)謳歌(おうか)した。
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