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「あんた、バカ!?」
あかりは声を上げた。想像していたよりかなり大きな声が出て、自分でも少しおどけてしまったが、怯まずに話し続けた。
「女子の体重……しかも初対面の女子の体重だよ!? デリカシーが、なさすぎる! それ、女子に聞いちゃいけないランキングがあったら、かなり上位のやつだから! 会っていきなり相手の体重とか、失礼極まりないし、初めて会う相手に対して、そんな……」
そこまで言って、急にブレーキがかかった。あかりは、自分の発した言葉に、強い違和感を覚えた。
"初対面"……そう、彼と会うのは初めてのはずなのに。
この男は自分のことを知りすぎている。
「なんで、私のことを知ってるの? 名前とか、血液型とか……その他のことも……」
"体重"とは敢えて言わないでおいた。聞きたいポイントはそこではない。なぜ自分を知っているのか、である。
だが、彼は表情を一切変えなかった。戸惑っている様子も、茶化している様子もなく、何も言わなければ、言ってくる気配もなかった。
「てか、そもそも誰? さっきから、人のことを貶したり、驚かしたりしてさ……」
あかりはわざと顔を覗き込むような仕草を取ってみたが、さっきからどうも目線が合わない。あまりに進展がないので、さすがにあかりも困り果ててしまった。
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