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「あれ、知らなかった?」
驚いたようにゆかりちゃんが続けた。
「美沙、先月亡くなったの。」
「えっ!」
驚きで大きくなった声を慌ててひそめた。
「知らなかったよ。病気で入院してたの?」
仕事で利用者の死に関わることもあるのに、それは利用者や親族の死とは違う響きを持っていた。
「それがね。『心不全』って聞いたけど、自殺って噂もあって。」
「自殺……」
「でも、そういうの浩司や親に聞けないでしょ。調べるのもなんだし。だから私は真相は分からないんだ。」
「そう。教えてくれてありがとう。ゆかりちゃんはお通夜とか告別式に行けた?」
「うん、私はお通夜に行ってきたよ。浩司は泣かずに気丈に振る舞ってた。」
「そっか。私も近々浩司の家にお線香供えてくるよ。」
その時ちょうど受付で名前を呼ばれて、ゆかりちゃんとはそこで別れた。
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