拝啓、彼方のあなたへ

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拝啓、彼方のあなたへ

『ひまり、お誕生日おめでとう。』 「ありがとう、お母さん。」  8月の誕生日、実家の母が電話をくれた。お互いの近況報告の後「そういえば」と母が切り出した。 『その……もう聞いてる?』  切り出した割に遠慮がちに触れる母。 「何?」 『同級生の高橋洋平くん覚えてる?南小(なんしょう)の。』 「多分。」 『お母さんがうちの整骨院に通ってくれてて聞いたんだけど。 元南小でバレエで一緒だった同級生の美沙ちゃん。亡くなったらしいの。』 「えーっ!」  寝耳に水、な話題に驚いた。母の話は続く。 『自殺だったって。』 「嘘!」  それは衝撃的な知らせだった。  美沙ちゃんとは小学校は違うけど、幼稚園とバレエで一緒だった。中学校の時に浩司と付き合ってて、大人になって復活愛を実らせた。  私は浩司とは高校の時同じバイトで、仲良くしてた。浩司は私の結婚式に来てくれたけど、浩司の結婚式は身内で挙げてたし、結婚後は浩司とも疎遠になっていた。
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