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空に願う
「昴、太陽、気をつけろよ。」
砂利道を駆けていく昴と太陽に声をかける。美月は俺の腕の中でばたばたと暴れている。
「美月歩きたいのか?」
地面に下ろすと兄達の後を追う。ぴこぴこと鳴る靴で歩く美月の、ちいさな手を繋いだ。
「みっき ままっとこ いくー」
「今川家之墓」と書かれた目的地に先に着いた兄達が、笑顔で手を振っている。
美沙がいた頃はよく転んでた美月も、だいぶ安定して歩くようになった。
美沙の初盆を迎え、墓参りに来た。俺達の後ろを両親が荷物を持って歩いている。
「美沙ちゃん、帰ってきてるかしらね。」
母さんが呟いた。
墓掃除して、母さんの用意してくれた供花や飲み物や供物を墓前に供える。親父が火を消した線香を線香立てに立てた。
じりじりと陽が照りつける真っ黒な墓石に、ペットボトルに入れた水を撒いたら「ぼくがやりたい!」と兄弟で取り合いになった。
水を撒いた後は全員で墓前に手を合わせた。昴の真似をして拝む太陽を横目に美月を見ると、家族の様子をじっと見ている。
しゃがんで背後から美月の両手を持って、俺の掌にすっぽり収まるちいさな手を合わせて拝んだ。
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