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「お電話ありがとうございます。ヤマペット西店、松田です。……ああ! お世話になっております。少々お待ち下さい。」
保留ボタンを押した副店長がこちらを見た。
「今川、お父さんから1番な。」
親父から会社に電話なんて珍しい。不思議に思いながら受付席の電話を取る。
「もしもし?」
『浩司……落ち着いて聞いてくれ。』
なぜか重苦しい空気の父から出た言葉は、予想外のものだった。
『美沙ちゃんが……自殺した。
美月と散歩から帰ってきた母さんが見つけて、さっき救急車で搬送された。お前は上司に報告して早く帰って来い。』
は? いま なんつった?
今朝の美沙はいつも通りで、玄関で弁当袋をもらった時は笑ってたのに。
──聞こえた情報を、脳が処理できてない。
でも身体は即座に反応した。
心臓がドクドクと忙しなく動き、じっとり嫌な汗が背中を伝う。受話器を握る掌にも汗が滲んだ。
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