双子のバースデーケーキ

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双子のバースデーケーキ

そのとき、母親と、5歳くらいの女の子2人~双子だろう~が来店した。 「バースデーケーキを予約したいんですけれど。受け取りは5月16日の月曜日で」 「はい、ご予約ですね。カタログの中から、お好きなケーキをお選びください。チョコプレートに名入れもいたします」 マニュアル通り、案内したそのときだった。カタログを見ていた双子の女の子が 「え~っと、さつきはねぇ、チーズケーキがいい」 「え~、メイはチョコレートケーキのほうがいいよ」 母親が困ったように、 「ケーキは2人でひとつ。そういう約束でしょう?」 「だって、さつきはチーズケーキがいいもん!チョコレートケーキなんて嫌!」 「メイだって、チョコレートケーキ、ぜったい。チーズケーキはダメ!」 対応に困っていると、カフェで接客していた店長がひと段落して、こちらへやってきた。そして、しゃがみこんで2人の女の子に笑顔で言う。 「さつきちゃんはチーズケーキ、メイちゃんはチョコレートケーキがいいのよね?」 「うん」「そうなの」 子ども2人がうなずく。 「どうにかなりますか?2台分の予算はないんです」 「レギュラーサイズのケーキは21センチです。もし、10センチのケーキ2つでよければ、同じ価格で提供いたします」 と営業スマイル。 「もちろん、名入れチョコプレートも2枚つけるね」 「わ~い!」 さつきちゃんとメイちゃんは大喜び。 「じゃ、それでお願いします」 「では、こちらにお名前とご連絡先を。ご希望のプレートナンバーと、お子さまのお名前をお書きください。ろうそくはどうしますか?」 「5歳になるんですが・・・10本いただく、ってことは出来ますか?」 店長はにっこり微笑んで 「もちろんです。承りました。5月16日の月曜日、お待ちしております。ありがとうございました」 「ありがとうございます」 その母親は、とても幸せそうに見えた。店長の、みんなを幸せにする、ってこういうことなのか。 「お姉さん、ありがとう!」 さつきちゃんとメイちゃんが店長に抱きつく。 神対応、とはこういうことを言うのだろう。マニュアルに頼るのではなく、人に寄り添う店長の人柄はステキだと思った。カズキくんが好きになったのもわかる。店長のようなステキな店員になれたら、と心から思った。
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