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Sleepless in Seattle
2人は練馬に着き、DVDレンタル店で、DVDを探していた。
「うわ~っ、懐かしい!!『めぐり逢えたら』だ!!」
美穂が思わず大声を出す。
「えっ、有名な映画なの?」
「うん、90年代・・・パパとママが若いころに観た思い出の映画だって言って、よくママに観せられたわ~。パパがメグ・ライアンのファンだって言って、ママがちょっと拗ねてた」
くすっ・・・と懐かしげに笑う美穂の横顔が本当にきれいで、和希はすぐに抱きしめたい衝動に駆られた。
「じゃあ、それにしよっか」
「いいの?ラブコメだよ?」
「美穂の好きな映画が知りたいんだよ」
「・・・嬉しいな」
やっぱ、美穂、可愛いな・・・レンタルしながら、秘かに和希は思っていた。
和希のアパートに向かって歩きながら、美穂がぽつりと言った。
「原題はね、"Sleepless in Seattle"っていうの。直訳したら、『シアトルの眠れぬ人』ってとこかな」
「へぇ・・・それが何で、『めぐり逢えたら』なの?」
「それは、観てのお楽しみ。すごい、ピュアなラブコメだよ」
なぁんて、話していたら和希の部屋に着いた。
「じゃあ、さっそく観ようか。ビールとかあるけど、飲む?コーラもあるよ」
「じゃあ、コーラで」
「じゃあ、僕もコーラにしようかな」
「めぐり逢えたら」、が始まった。
シカゴに住む建築家のサムは、癌で最愛の妻を亡くしてしまう。サムは一人息子のジョナと一緒にシアトルに越してきた。だが、悲しみのあまり、一睡もできずにいた。ジョナは、そんな父親のために「パパには奥さんが必要」と、あるラジオ局の相談番組に電話をする。
同じ頃、ボルチモアに住む新聞記者のアニーは、婚約者ウォルターを伴って実家のクリスマス・パーティに出席していた。ウォルターの評判は上々だが、母親から今まで何度も聞かされていた、両親の運命の出会いを聞かされる。アニーは、「彼との出会いは、運命じゃないわ。偶然よ」と切り返す。その帰途、ジョナが相談したラジオ番組で、“シアトルの眠れぬ人”サムが切々と語る亡き愛妻との忘れられない思い出に、アニーは思わず涙する。そして、彼と実母が「出会った瞬間に運命を感じた」ことに気が付く。そして、アニーは、『シアトルの眠れぬ人』に会う作戦を立てる・・・。
「こんなに、愛してもらえたらな・・・」
美穂がつぶやく。
「この世から去っても、愛されて、眠れないほど愛されて・・・」
美穂は、気がつかないうちに涙を流していた。和希は、そんな美穂の頬にキスをして。
「僕は、美穂を死ぬまで愛すよ。美穂がいなくなったら・・・なんて、考えたくない。もし、美穂が先立つようなことがあったら、僕は美穂との思い出の中に生きる」
「そんなの切ないよ。新しい恋を見つけて。サムのように・・・」
「そういう展開なの?」
「あっ、つい言っちゃった」
美穂はぺろっと舌を出す。
「あ~、もう、映画は終わり!!もう、美穂の涙にやられた・・・」
和希は美穂を抱きかかえると、和希のシングルベッドに連れて行った。
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