スイート・タイム

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スイート・タイム

和希は美穂をベッドに降ろすと、そっと耳もとでささやいた。 「美穂、愛してる。いい・・・よね?」 「うん。・・・私もカズキくんを愛してる」 和希は美穂に優しくキスをすると、少しずつ、優しくゆっくりと美穂と1つになった。 2つの汗ばむ身体がどくん、どくん、と波打っている。どちらの鼓動かよく分からない。 「何か飲む?美穂」 「麦茶とかある?」 「持ってくる」 和希が身体を離して、冷蔵庫まで歩いて行く。美穂はまだ夢見心地だった。 「はい」 麦茶のグラスを渡す和希。 「う~ん、やっぱ、ちょっと照れ臭いな」 と布団にもぐる美穂。 「何が~?もう、美穂のすみからすみまで見たぞ~!!」 いたずらっぽく笑う和希。 「だよねぇ」 麦茶を受け取って、こくん、と一口飲む。和希も一口飲んで、 「お昼、どうする?予定では、お昼食べたあとに美穂、食べるつもりだったけど。これから、パスタ作る?」 時計を見ると12時半だ。少し遅いお昼になるけど、パスタ作るのもいいかも。 「いいわね、一緒に作ろ。何パスタ?カズキシェフ。」 「ツナトマトパスタなら、材料ある」 「じゃ、それで。まず、服着なきゃね(笑)」 思いのほか、和希は手際が良かった。あっというまに、にんにく、たまねぎ、にんじんをみじん切りにする。 「じゃ、炒めるね。お湯も沸いてるから、パスタ茹で始めるね」 美穂も、ササッと具材を炒め、ツナを加え、カットトマトとコンソメを加えて煮詰める。慣れた手つきだ。 「思ったんだけど」 和希が言った。 「僕たち、料理もベストパートナーじゃないか?」 「そうかも」 美穂が幸せそうに笑う。 2人掛けのダイニングテーブルにパスタを乗せた皿を持って行く。 「カズキくん、普段は自炊?」 パスタを食べながら、話し始める。 「うん、その方がいいかな、と思って。でも、作り過ぎて、3日くらい同じもの食べてるときあるよ」 「一人暮らしだもんねぇ」 「そっ、色々大変なんだよ」 「パスタ、美味しいね」 「味つけは、美穂だよ。美穂も、家で料理とかしてんの?」 「ん、いちお、婚約してたから、困らない様にって週に3回は食事当番。それが、今も続いてる」 「センスあると思うよ」 「ありがと。これからは、カズキくんのため、と思ってかんばるね。」 「そんな可愛いこと言うから・・・」 和希が美穂にキスをする。求めるような熱いキス。 「今日はもう、ダメだよ?」 「ちぇっ・・てか、分かってたけどね」 お茶目な笑顔。 「映画の続き、観る?」 「ん。そだな」 ラストのエンパイアステートビルディングでの出会い。そして、手をつなぐ2人。 「恋の始まりだな」 「きゅんきゅんするでしょ?」 「でも、これからいろいろあるんだぞ?」 「そりゃあね。アニー、一方的に婚約破棄しちゃったし、大わらわでしょうね」 「でも、婚約者は運命の人じゃなかったんだよ」 「そうよね」 「美穂もね、拓也さんとは縁がなかったんだよ」 「運命の糸はカズキくんにつながってた」 和希が美穂を抱きしめる。 「僕から離れないでね」 「うん。約束の、クローバーのネックレスに誓って。・・・ねぇ、私からも、カズキくんに何か約束の品をあげたい。カズキくんがそれを見るたび、私を思い出すようなもの」 「う~ん、何がいいかな?捜しに行く?」 「今から行こう.。代官山のあたしのお気に入りの雑貨屋に」 「その前にシャワー浴びようよ、2人で」 「えっ・・・」 「なに、今更照れてんの」 結局、和希に押し切られた形でシャワーを2人で浴びた。お互いに洗いあうとか、やっぱり恥ずかしい。そんな風に思うのはおかしいだろうか。 身支度を整え、出発の準備が出来た。
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