ドキドキ☆2人の初対面

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ドキドキ☆2人の初対面

あっという間の日曜日。昨日も、カズキくんとはメール交換したけれど。服、どうしよう?スーツでいい、って言われた方が楽なんだけどなぁ・・・とリクルートスーツに目をやる。カズキくんと食事もするわけだし、ツインニットくらいでいいかな。この、ペールグリーンのツインニットにグレーのスカートにしよう。イヤリングとペンダントネックレスは小ぶりのものをつけて。これでいいかな。美穂は、自宅の姿見の前で、くるくる回っていた。 はぅ。緊張する。ハンカチ、ティッシュ、オッケイ、お財布、スイカ、オッケイ、履歴書、オッケイ。 美穂の自宅は東中野。新桜台だったら、本当はまっすぐ行った方が早いんだけど、カズキくんは自宅を知らないもんね。カズキくんは、練馬って言ってたっけ。 新宿までは、中央線各駅停車で2駅だから、10分もあれば着く。12時15分前に、美穂は家を出た。 一方、和希は、11時半には待ち合わせの花屋に着いてしまっていた。どこかで時間つぶしでもすればいいんだろうけど、推理小説の文庫本を持ってきていたから、それを読んでいた。そうしていたら、花屋の男性店員に声をかけられた。 「お兄さん、デートの待ち合わせ?カッコイイ格好しているから分かったよ。彼女に、プチブーケでも、プレゼントするのはどうよ」 「いや、僕はあんまりそんなのしないから」 「だからこそ!!女の子ってね、サプライズに弱いんだよ。これなんかどう?ピンクとペールグリーンがキレイだよ」 「はぁ・・・」 「もしかして、初デート?」 「初デートって言うか、会うのは初めてだけど・・・」 「だったら、ね?」 いずりんちゃんは、喜んでくれるだろうか。あの、ふわっとした女の子は。 「じゃあ、いただきます」 「毎度ぉ!」 引かれないか、ちょっと不安だ。 プチブーケを持っているから、本も読めない。手持ち無沙汰で待っていると、ゆるいカールのセミロングの、淡い洋服を着た、いずりんちゃんが現れた。 「いずりんちゃん、こっち!」 思わず、大声で叫んでしまった。 いずりんちゃんは、少し息をあげて、こちらにやってきた。 「ごめんなさい、待たせちゃったね」申し訳なさそうに言ういずりんちゃん。 「まだ、約束3分前だよ。これ・・・『出会い記念』」 ストライプのシャツにチノパン、ジャケットを着たカズキくんが言う。結構、キマってる。カッコイイ!!って素直に思った。そんな人から、花束のプレゼント。 「いいの?」 「受け取ってもらえなかったら、逆に困る」 「ありがとう」 「今日の服装にあってるね」 「ほんとだ」 「じゃ、パスタ屋に行こうか」 そのパスタ屋は、南口から少し歩いたところにあった。結構混んでいる。待つのかな。 「いらっしゃいませ~」と寄ってきたウェイターさんに、カズキくんが言う。 「予約していた、イイジマですけど」 え?予約していてくれたの?驚きが顔に出たのかもしれない、カズキくんがちょっと照れて言った。 「初デートで、女性を待たせたくなくて」 だから・・・お花を買う時間があるくらい前から待っていてもくれたんだ。美穂は、なんだか感動した。 でも、私がすっぽかす可能性も考えなかったのね。自信家なのか、私が信頼されているのか、どちらだろう。 ウェイターが、窓際の、広い席に案内してくれる。 「何食べる?ここは何でもうまいよ。僕は、カルボナーラが特に好き。でも、ボロネーゼもおいしいかな。生麺だから、もちもちしてるよ」 「じゃあ、カルボナーラとボロネーゼをシェアしない?」 「そうしようか。飲み物は?僕は、アイスコーヒー。」 「アイスカフェラテで。」 ウェイターを呼んで、注文した。
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