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ピピピと鳴るデジタル音で、はっと目を覚ました。きっかり五分前。タイマーを仕掛けておいて正解だった。でなければ、あやうく寝過ごすところだ。
やや混み合った電車の中、周りの人間が迷惑そうに、僕を見ていた。悪いけれど大目に見てほしい。今日は特別なのだから。
多少、冷房は効いているものの、車内は蒸し暑い。マスクを付けている顔は、息苦しく、熱がこもる。外したいけれど外す訳にも行かない。皆、どこか苛ついてギスギスした空気が漂っている。
こんな状況が、いつまで続くのやら……
あれこれ思いを巡らせるうちに、二回目のタイマーが鳴った。止めると同時にゆっくりと目を閉じる。周りがどんな顔をしているかなんて、もう関係ない。
8月6日午前8時15分黙祷。
(了)
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