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序章 踏み外した日常
横浜の町はずれにある、古びた教会。
平穏な見た目な建物の中には、血みどろの戦いが繰り広げられていた。
黒い巫女服を着た女が一人、彼女を取り囲むようにフードを着た男たちが十人程度。中には銃を持った男もいる。
男の一人が女に向かってナイフを突き立てる。
彼女はその腕を掴み、相手の腹を殴りつける。
別の男が彼女に銃口を向ける。
それに気づいた彼女はとっさに目の前の男を自分の正面に抱き寄せる。
銃から放たれた弾は男に命中し、傷口から血が噴き出した。
男たちはその様子に一瞬怯むが、一斉に彼女に襲いかかってくる。
それから二分ぐらい経過しただろうか。
戦いを終えて、残ったのは女だけだった。
一人立っている彼女は周りを見渡す。
左手には、壁に激突し、頭から血を流している男。
右手には、胸元にナイフが刺さり、仰向けで倒れている男。
そして、自分の正面には、ハチの巣となった無残な死体があった。
アドレナリンが抜けたのか、彼女はへたり込む。
そして無音の空間の中、彼女は自分の過去を振り返った。
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