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(ああっ! もう、辛抱できないわっ!)
柱の陰に身を潜め、男の子達の様子をこっそり伺うなつめの背中に、しのぶは近づく。
なつめは、直ぐ後ろに、しのぶがいるというのに、全く気付く様子が無く、男の子達に集中している。
しのぶは、なつめの両肩に、ガッシリと手を置いた。
「ヒッ!」
いきなり肩に触れられてビックリした、なつめは体を震わせて後ろを向く。
「しししししっ、しのぶ?」
しのぶは、冷めた笑みを浮かべ、なつめの顔を見ていた。
「なつめ、アンタ、何をやっているのよ? いったい、どういう……」
大声を出して言う、しのぶの口を、なつめは慌てて塞いだ。
しのぶは、力強く口を押さえられ、モゴモゴ言った。
鼻も一緒に押さえられて、息が出来ない。
「大きな声、出さないでよ。彼に聞こえちゃうじゃない。気付かれちゃったらどうするのよ。シィーッ!」
しのぶが、激しく首を上下させて頷く。
なつめは、ゆっくり、しのぶから手を放す。
しのぶは、深呼吸を繰り返して、肺に酸素を送り込んだ。
「ゲッホ! ゲッホ! もうっ! 何をするのよ! 窒息したらどうするのよ!」
まくし立てるように言う、しのぶに、なつめは、自身の口元に、人差し指を当てて、シィーッと、やる。
「ごめん……」
思わず謝ってしまった、しのぶに、なつめは、良いから静かにしていてよね、と囁いて、再び男の子達に集中する。
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