第2章 日常1

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(思わず謝っちゃったけど、なんで私が謝らなきゃいけないのよ)  そう思ったしのぶだったが、しのぶも、男の子達の事が気になったので、なつめと二人で、柱に身を隠して彼らを観察した。  男の子達は、改札の付近にいた。  改札を通ったのなら、電車を利用するつもりだろうが、二人は、ホームへは行かずにそこにいた。  彼らは、何かを見ながら話をしている。  しのぶは、目を細くして、男の子達が見ている物を確認しようとしたが、しのぶがいる位置からだと、男の子達が何を見ているのかは分からなかった。  改札の入り口を抜けると、そこには、広くはないが、ある程度のスペースがある。  改札口から見て、正面に、ホームへと続く、上りの階段。そして、改札を入って、直ぐ右側に駅員が在住する駅事務所があり、左側には、トイレと、軽食が出来る店がある。  トイレは、改札口寄りに設置されていて、店は、ホームへと続く階段寄りにあって、その店と、ホームへと続く階段の間位の場所に設置されている物を、男の子達は見ている。  しのぶとなつめは、男の子達が、どうやら、ホワイトボードのような物を眺めているという事は分かったが、肝心のその内容はさっぱり見えない。 しのぶ達から見たら、それは横向きに設置されているし、距離的にも、二人が内容を知る事は出来なかった。 「あの子達、一体、何を見ているのかしら? あそこには何があるの? ポスターかなにか貼ってあるとか?」 「知らないわよ。私、この駅、初めて来たんだから。こっちが訊きたいくらいだわよ」  なつめの台詞に、しのぶは呆れた。 「なつめ、アンタ、訳も分からずに、ただあの二人の後をつけていたわけ?」 「うん、その通り」
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