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頷くなつめに、げっそりした顔を向けて、しのぶは、再び男の子達を見た。
よっぽど、興味を引く物があるらしく、彼らはずっと、それを見ながら話を続けている。
会話の内容はしのぶ達には分からないが、彼らの話しがとても盛り上がっている事は十分過ぎるほど分かる。
(あの、ホワイトボードみたいなヤツに、面白い事でも書いてある……とか? もしくは、何かのポスターが貼ってあるとか? 分からない!)
しのぶは、なんとか見られないものかと、首を伸ばす。
「しのぶ。柱からそんなに顔を出さないでよ。見つかっちゃうじゃない」
「分かっているわよ。アンタこそ、静かにしてよ。気付かれるわよ」
コソコソと言い争う、しのぶとなつめには全く気付かない男の子達は、楽しそうに話を続けている。
「間もなく、2番線ホームに電車が入ります」
駅に、アナウンスが流れる。
男の子達は、アナウンスを聞くと、お互いの顔を見て頷き合い、そして、あっという間にホームへと続く階段を駆け上がった。
いきなり動き出した彼らに、しのぶと、なつめは混乱した。
「えっ? あっ! ヤダヤダッ! ちょ! しのぶっ! 追うわよ!」
「は? あっ、あっ! うううう、うん!」
二人は、急いで改札へ向かう。
なつめは素早く改札を通り、階段へと走る。けれど、そんな、なつめの後ろから、しのぶが、なつめを引き止める声がする。
「待って!なつめ! パスケースが出てこないの!」
しのぶは、焦った顔で、ガサガサ音を立ててカバンを探っている。
「もうっ! 何をやっているのよ! 早く!早くったら!」
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