第2章 日常1

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 しのぶは、なつめの、その仕打ちに苛立ちを感じていたが、なつめには、前から、こうやって、気まぐれに予定を変える所があったので、半分、仕方ないと思い、なつめとのショッピングを諦める事にした。 「もう、分かったから良いわよ! その代わり、埋め合わせはしてもらいますからね!」  しのぶは、ため息一つして、机の上に置いてあるカバンを攫い、なつめに、じゃあねと言って教室を出た。  閉めた教室の戸の向こうで、なつめが大声で、ゴメンねと叫ぶ声が聞こえる。  しのぶは、そのなつめの声を背中で聞きながら、長い廊下を早足で歩いた。  校門を出ると、しのぶは早足を止め、ゆっくり歩く。 (ああっ、もう、これからどうしよう)  なつめとの約束が無くなり、しのぶは、これから、なにをして放課後を過ごそうかと悩んだ。  ショッピングをする事は、もう、どうでも良くなっていた。  しかし、このまま家へ帰るのも、しのぶは何だか嫌だと思っていた。  しのぶは、歩きながら、このまま、歩き続けても仕方ないと、目に入った公園に、ふらりと入った。  公園には、誰も居なかった。  ブランコ、滑り台、鉄棒にシーソー。錆びた遊具が、寂しげに、しのぶを待っている。  しのぶは、ブランコ、滑り台、鉄棒、シーソーの順に眺める。 (ブランコ、よね? やっぱり)  しのぶは、ブランコに座り、カバンを地面に置いて、ブランコを漕ぐ。  ブランコが揺れると、しのぶの、二つに分けたおさげの髪も一緒に揺れた。
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