第2章 日常1

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 そんな自分を、ため息と一緒に、吐き出してしまえたら良いのに、としのぶは思った。 (私ったら、なんで、あんないい加減な子と付き合っているのだろう)  しのぶは、なつめの事を思った。  しのぶと、なつめの付き合いは、去年の、高校の入学式から始まった。  体育館での、新入生を集めての説明会の時、二人が、たまたま、隣同士の席になったのがきっかけだった。  説明会の席は、同じクラスごとに、まとめられていたから、しのぶも、なつめも、お互いがクラスメイトである事は解っていた。  周りの生徒達も、隣同士で素早く友達作りをしていたから、しのぶも、なつめも、取り敢えずの友達キープの手段で、お互いに当たり障りの無い会話をした。  その時、同じ小説を読んでいるという事で、話しが盛り上がり、それがきっかけで、しのぶは、なつめとつるむ事になったのだった。  けれど、しのぶは、後になって、なつめに読書の趣味は無いことを知る。  文学少女のしのぶは、少し、がっかりしたけれど、それならそれで、本以外の話をすればいい事だと割り切っていた。  なつめは、ミーハーで明るい性格。しのぶ以外にも友達は多い。  しのぶは、なつめ程、明るい性格では無いが、姉御肌で、ドジななつめの面倒を良く見た。  二人は、趣味も性格も全然違ったが、目立った喧嘩もする事無く仲良くしていた。  二年になっても同じクラスになった二人は、当然の様につるんだ。  二人は、いつも一緒に行動した。  しのぶとなつめは親友同士……というのが、クラスメイト達の、この二人に対しての認識だった。  しのぶは自分達が、そう思われている事を解っていた。
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