2.友達

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「すみません、じゃあ俺ちょっと……保健室に」 「青馬くん。私保健委員だし、一緒に行こうか?」 「あ、いやいや、いいや。か弱い女の子の力を借りるわけにはいかねえし」  青馬は前の席に座っているメガネにおさげの女子から声をかけられたが、優しく断りを入れるとフラフラ教室を出ていく。  青馬にそんなことを言われた女子はドキドキして頬を赤くしていた。 「青馬やばっ、超カッコ可愛いんですけど!」 「あたしそろそろ告白しちゃおっかなー!?」 「あんたじゃ無理だって!」  先ほどのやり取りを見ていた他の女生徒からキャッキャと黄色い話声が起きる。そんな様子に一番前の席に座っている響は、隣の席の橙子に向かって首を傾げた。 「見た目や将来性から言えば日暮の方が圧倒的上にも関わらず、青馬の方が女子にモテるのはなぜなんだ」 「響はまだまだ乙女心がわかってないわね。女の子はね、遠い国の王子様よりも手の届く自分だけのアイドルを探してるのよ。日暮くんは確かにカッコイイけど近寄り難いし、反して青馬は人懐っこいからもしかしたら……なんて期待させるのよね」 「むう……なるほど、次の漫画のネタにさせてもらおう」 「よしよし」 「こーら、そこのバカップル、授業を聞かんか!」  響と橙子が教師に注意されている間も、光は一人黙って青馬がいなくなった席を見ていた。
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