3.秘密がバレた日

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「牧道、大丈夫、か……」  光の言葉が徐々に速度を落として途切れていく。   「……」 「…………」  宇宙空間に転移したような、摩訶不思議な空気が二人を包んだのち、シャッ、と勢いよくカーテンが閉められた。  中を覗いてしまった光は、ベッドに身体を折りたたむようにして座っていた立派な馬とバッチリ目が合ってしまったのだ。あまりに非現実な光景に、光は珍しく動悸を覚えた。  ――ちょっと待て、今のは……?  とりあえず落ち着こうと考えた光は、サッカーの試合前によく行う深呼吸をしてみる。  それからもう一度確認してみようと意を決すると、静かに静かにカーテンを開いた。 「…………」  見間違いではないため当然先ほどと同じ景色が光の目に飛び込んでくる。  再び視界を占領する存在を認め合うと、しばし固まり無音の時が流れた。 「……馬……だな……」  頭に手をやり苦悩する光を前に、完全に馬と化してしまった青馬は申し訳なさでいっぱいになった。  ――いや、そりゃそうなるよな!?  いくら北海道で馬は見慣れているとはいえ、クラスメイトが寝ていると思っていた場所にいきなり馬が出てきたら悩みたくもなるだろう。特異体質の青馬自身も、仮に友達がいきなり鶏なんかになれば仰天するに違いない。
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