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「そ、そう? 私の聞き間違いかしら……。まあいいわ。担任の先生には許可を取ってるんでしょうし、好きなだけ寝ていってね。先生まだ職員室に用事があるから、なにかあれば呼んでちょうだい」
「……はい」
会話が終わると保健医は踵を返し、再び部屋を後にした。
ドアが閉まるのを確認すると、光は小さく安堵の息を漏らす。そしてまたカーテンの中に入り、馬になった少年と向かい合った。
光はなんとか頭を整理し、青馬に質問することにした。
「……ハイ、かイイエ、なら答えられるか? 頭を縦や横に振ることは……?」
ちぎれんばかりの勢いで頭を縦に振る馬を見て、しっかり言葉が通じているのだと感じる光。
「じゃあ、質問だ。……この、馬に変化した状況は、いつになったら終わるんだ?」
その質問に対し青馬は両前足を上げると、首を傾げて「わからない」のポーズをした。
「意外と複雑な動きができるんだな……じゃあ、この馬の変化を学校内に知ってる奴はいるのか?」
ブンブン、と首を横に振る青馬。
「じゃあ、家族は知ってるのか?」
今度はコクコクと縦振りで頷く青馬を見て、光は「そうか」とつぶやいた。
質問を終えた光は腕を組みもう一度頭を捻ると、閃いたように青馬を見た。
「……うん。ならもう、打開策はこれしかない」
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