4.伝説の駿馬

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「なんだあ、迷い馬かあ」 「それなら飼い主を探しに行かなければ」 「大丈夫だ、俺がなんとかする」 「日暮くんならなんとかできそうだもんね」 「そうか、さすが日暮だな」  色々無理がある内容ではあったが、納得している二人を見て青馬は心底見つかったのが彼らでよかったと思い鼻息を漏らした。 「あれ、そういえば日暮くん体調悪いからって青馬の後に保健室に行かなかった?」 「……ああ、牧道はあまりに具合が悪いから帰ったみたいだ。先生にも伝えておいてくれ」 「日暮は大丈夫なのか?」 「ああ。……二人とも、馬がいたことはここだけの秘密にしてくれるか」 「わかった!!」 「……じゃあ」  秘密の共有に気分が上がった二人は元気よく返事をすると光と馬を見送った。  見事な鬣をした雄馬の後ろ姿を見ていると、橙子はなにかが気になった。 「うーん、あの馬……なんかどこかで見たことがある気がするのよね」 「珍しい群青色のような身体をしていたな。橙子の親父さんは競馬好きだから、いつかの競馬雑誌か、テレビなどで見た記憶ではないか?」  響のセリフに橙子は「あ〜!」と言いながら手のひらを拳でポンッと叩いた。  そんな父を持つと日常生活の至るところで競走馬の情報を見聞きするため、自然と覚えていたのだ。 「うん。きっとそうだと思う。今日帰ったらお父さんに聞いてみようっと」 「そんなことよりさっきの漫画の続きを考えるぞ!」 「はーい!」
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