4.伝説の駿馬

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 やがて青馬は小さな森のすぐそばにある泉に着くと足を止めた。  光が降りると、青馬は太陽の光に輝く水面(みなも)に口をつけた。 「喉が渇いてたんだな……」  冷たい水を飲み終え、青馬が一呼吸した時だった。  大きな馬の身体が縮小し始め、耳も尾も消え、群青色の皮膚は健康的な肌色へと変化した。 「……へへ、なんか戻れたみてえ」  困ったように頬を掻きながらそう言う青馬に、彼の変身姿をじっと見ていた光は我に返ると少しだけ笑った。 「よかったな。戻れたみたいで」 「おう! あ、日暮さ、今から俺ん家来ねえ!? 色々世話になっちまったし、お礼に飯でも!」 「いや、そんなことは別に気にしなくて」 「いやいや俺が気にすんの! な、な! ぜひ!」 「……そこまで言うなら」 「マジで!? やったー! あ、そうそう日暮、話の途中であれなんだけど」 「なんだ」 「なんか隠せるもの持ってない?」  人間に戻れた喜びから通常運転で会話をしていた二人だったが、青馬の服は下着も含めてすべて馬になった際に破れてしまったため……当然今は素っ裸なのであった。
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