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「あ……俺は、日暮光、です。牧道くんと同じクラスで」
「きゃあああ! あ、あなたー! 青馬に友達ができたわーっ! 秘密を知っても協力してくれる友達がーっ!!」
今までの杞憂を吹き飛ばす静葉の感激の声。
完膚なきまで声をかき消された光は、面食らって棒立ちしていた。
「しっ! 静かにしないか、大きな声で秘密と言うんじゃない」
「ごめんなさい。でも私嬉しくて! ジージ、バーバーー! 青馬がすごい美形のお友達を連れてきたわよーーっ!!」
きゃいきゃい騒ぐ静葉に呼ばれ、奥の部屋から祖父母が現れた。
ふさふさとした白髪に小さな皺を刻んだ老夫婦は、腰も曲がっておらずまだまだ活力が溢れている。
「あら、あらあら、ほんっとイイ男だこと」
「なに頬を染めとるんだばあさま。青馬のお友達、今朝立派なじゃがいもと玉ねぎが採れたからお昼ご飯食べていきな」
賑やかな青馬の家族に少々戸惑い気味の光だったが「日暮くんとやら」と、渋い声をかけられると幾分か背筋を伸ばし「はい」と返事をした。
「……青馬を、助けてくれてありがとう」
青馬の父の静かながら感謝のこもった一言に、断る理由を持たなかった光は、お言葉に甘えて昼食を一緒に取らせてもらうことにした。
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