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「……半馬の寿命は短いことが多くてね、だからもう、今は青馬一人だけなのよ」
「そうそう、俺生き残り!」
思いがけない暗い歴史に、溌剌とした青馬の声は光の耳をすり抜けていく。
「……でも……牧道のおじさんや、おじいさんは、今もこうして生きてます、よね……?」
「……それはたぶん」
「あーー! もういい、母ちゃん、重すぎるってその話! そんなこと言われたら日暮も反応に困るだろ!」
話を制する青馬に、静葉はハッとして光に頭を下げた。
「そ、そうよね。ごめんなさいね日暮くん。せっかく楽しくご飯をしようと思っていただけなのに」
「……いえ、俺は……」
「こんな話身内以外にできたことがないから、ついいらないことまで……さあさ、まだまだたくさんあるから食べてね」
「ばあちゃんこの味噌汁しょっぱくねえ!?」
「いつも通りだけどなあ」
青馬が気を使い話題を変えようとしていることが光にもわかった。いくらたくさん食べろと言われても、その後なかなか箸が進まなくなった光であった。
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