6.雲のない青空のように。

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「……すごいな、牧道は」 「なに言ってんだよ、日暮の方がすげえだろ!」 「俺はすごくない。謙遜じゃなく事実だ」 「日暮ってさー、SNSとかしないタイプだろ?」  藪から棒とも取れる質問に、幾分か落ち着きを取り戻した光は改めて隣に座る青馬を見た。 「なんだ急に。……ああ、しないな」 「だろー!? いいじゃん、そういう周りに影響されないのってさ、自分が強くないとできねえよ。俺なんか人間に慣れようと必死でチェックしてるもん!」  ものは言いようだが、協調性のない自分よりも周りに合わそうと努力し、それを成せる青馬の方がよほど強いのではないかと光は思った。 「もしかして、そのよく話すのも無理して合わせてるのか……?」 「いやこれは素! 俺しゃべるのは大好きだから!」 「そうか」 「あ、やべ! もうすぐ夜の七時じゃん。もっと話したかったのに……残念」  腕時計を見た青馬は初めて寂しそうな顔をした。  満開の元気の中ににじむ微かな憂いを、光はどうにか慰めたいと脳内で文字を組み立てる。 「大丈夫だ。またいつでも……明日でも、話せる」 「……そうだな。俺夜はあそこの小屋で寝てるんだよ。俺専用の馬舎」  青馬が指差す方向を見た光は「立派だな」と言った。 「あんまり目立たねえように小さめにしてもらったんだけどな」 「……俺、この近くを夜のランニングコースにしてるんだ。だからたまに寄ってもいいか? 馬の就寝時間がよくわからないけど」  光はそう口にした後で自分自身に驚いていた。  なぜそんなことを言ったのか。  頭で考えるよりも先に、すらすらと話すなんて少なくとも物事ついた時から記憶になかった。  光からの意外な提案に、青馬は丸くした瞳を爛々(らんらん)と輝かせた。
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