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「日暮、お前はそんなに他人の気持ちを考えられない奴だったのか!? 確かに前はなにを考えてるかわからなかったが青馬と仲良くなってからイイヤツだと思っていたのに!」
「響! ヒートアップしすぎ! 落ち着きなさいよ!」
「いくら容姿端麗でスポーツ万能でも調子に乗っていたらサッカーのクラブ仲間ともうまくやっていけないのではないか!?」
響のその言葉に、一瞬にして場の空気が凍りつく。響が言いすぎたかも知れない、そう感じた時にはもう遅かった。
光は誰も見たことのないような、鋭い目つきで響を睨みつけていた。その目は憤怒に満ちていた。青馬すら、声をかけるのを躊躇してしまうほどに――。
「適切な対応ってなんだ? うまくやるってなに? なんで本当のことを言っただけで調子に乗ってるってことになるんだ?」
光は自分を格好のいい人間などと思ったことが一度もなかった。ただ彼を見る周りの目が、光のことを勝手に想像し、イメージから作り上げただけだった。
時には『クールでカッコイイスポーツマン』。
時には『人付き合いのできない無愛想な奴』。
「みんな勝手なことばかり言いやがって……!」
「光……!」
「離せ! もう俺にかまうな!!」
青馬が思わず伸ばした手は強く振り払われ、光は逃げるように学校から出ていった。
初めて見る光の悲痛な叫びに、青馬は戸惑いを隠せなかった。
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