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2.友達
青馬と光が話していると教室のドアが再び開いた。
廊下から姿を見せたのは丸メガネに黒い短髪の少年と、ポニーテールのつぶらな瞳をした少女。二人は意外な光景を前に、その場に立ち止まった。
「おはよう青馬……あれ!? ひ、日暮くん!?」
「む? 何を赤くなってるんだお前は、この浮気者!」
光を見て心躍らせる少女、金宮橙子とそれにすかさずツッコミを入れる少年、岡庭響。
橙子は教室の両端に座っている青馬と光に交互に視線を巡らせた。
「だって日暮くんがいるなんて思わなかったんだもーん! ていうか青馬、今日暮くんと話してなかった?」
「話してたぞ! 日暮イイヤツ!」
「ほう……さすが青馬だな」
目を輝かせながら光の机に駆け寄る橙子の後に、ため息混じりの響が続く。
「日暮くん今日早くない? 朝練は?」
「……ああ……」
「今日は早めに切り上げたんだって。身体を休めるのも大事だってさ!」
少し面倒そうに口ごもる光を見て、青馬が代わりに答えた。
「そっかそっか、ねえねえ日暮くんはぁ」
「やめろ橙子! U-15に選出された期待の星にストレスを与えるな!」
「二人は漫画研究部はもういいのか?」
あまりに自然な流れだったが、光は青馬が助け舟を出してくれたことに気がついた。
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