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「ああ、今日も有意義な朝の時間を過ごした」
「ほんと響はオタク丸出しだけど橙子は全然そうは見えねえのに、わかんねえもんだよなー!」
「どういう意味だこら!」
「痛て痛て!」
「あー、私も青馬の髪もふもふするー!」
響と橙子は青馬の席へ移動すると、ふわふわの頭を揉みくちゃにした。光が少し遠巻きからその様子を眺めていると、一人、また一人と生徒たちが教室に入ってくる。その誰もが青馬に一番に声をかけた。
「おー、青馬。今日もいい色してんな」
「だろだろー!」
「はよー、青馬。お前朝飯食ってきたのか?」
「忘れたー!」
人が増えてくると、光は居心地悪そうに身体を小さくした。
予鈴が鳴ると同時に最後に入室した教師がドアを閉め、教壇の前に立つ。集まったのは二十三人。中学三年生はここと隣にある、二クラスだけである。
「じゃあ出席取るぞー。そうだ、今日は新田は風邪で欠席だからな」
「はーい! 先生、はいはいはーい!」
「なんだ青馬、今日も元気だな。まだ呼んでないぞ」
勢いよく挙手する青馬と担任のやり取りに、生徒たちから笑いが起きる。
「俺新田くんの席に行きたいでーす!」
「なんでそんなことを言うんだ?」
「日暮くんの隣の席だからでーす!」
青馬の申し出にギョッとした光は咄嗟に彼の方を見た。
しかし当の青馬は気にする素振りもなく教師と会話を続けている。
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