彼女

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彼女

その人物は彼とも彼女とも言い難い。 でも、彼女は彼になりたかったんだ。 性別という固定概念が嫌いで 女として扱われるのが嫌で 苦しくて 女という鎖から解放されたくて でもそんな願いは叶わなかった 1番の理由は親 親はそんな彼女を性別というなの見えない鎖に縛りつけ、男らしくしたいという願いを取り下げろと暴言を吐く 男になりたいのはおかしい気色悪いと彼女を責める 彼女はどうしても彼になりたくて 三人称を私から僕、僕から俺へと変えていった。 私という牢獄から僕、俺と使うことで少しは牢獄にある窓から灯りが差し込んできた気がした そして彼女は 一般的にいうホモ(ゲイ)が大好きである ♂×♂が一番美しいと思って 俺も男になってBLを体験したいと 願った。 でもそれは生まれ変わらない以上無理なことで 男装するぐらいしかなす術がなく 生まれ変わったらBLを体験したいと願うようになった。 そして彼女が抱えてる問題は性別だけではない 命の重さ、生きることの尊さ、自殺への非難、生きる価値、生きる意味がわからない 彼女は今すぐ死んでも何も後悔はないと思っている 彼女にとって生きることはは苦痛でしかなくて、死ぬことならどんなことよりも魅力を感じていた 世間はそんな彼女を白い目でしか見なかった 厨二病 病みアピ 精神病 知的障害 人々はそう、罵声をあげる 彼女は思った 人間はなんてくだらない生き物なのだろう 群れることでしか己の意見をまともに言えず 一人になると弱気になり、群れれば強くなる 周りに人がいないと何もできない人間 しかし、 自分ものその人間に含まれているという事実 自分も他から見れば同じ人間 人間という限定的な枠が嫌いで、本気で人を信じることができない 人を愛することができない、好きになることができない ある日 彼女はなにを思ったのか死んでいった 死ぬ間際、彼女は今まで生きてきた中で初めて、本当の幸せそうな顔をしていた 彼女の最後の言葉は 『次生まれてくるなら、性別という概念がない人間でもない生き物』 だった。
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