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何でおまえなんだ。
俺はなぜおまえと結婚しなきゃならなかったんだ。
俺はどんな理由があっておまえと人生を共に過ごすことになったのか。
ふざけるな、バカ女が、カス女が。
おまえなんかさっさと死ねば良かったんだ。
そもそも俺が悪いのか、あんな女と出会った俺が。
双葉敏和は強く憎しみを感じる、あの女、真也(まや)に対する恨みがどうしようもなく心に湧く。
敏和は真也と出会ってからの十五年、そして結婚してからの十年間の日々を思い浮かべた。その度にギリギリとした怒りに駆られる。これはもう俺の心の中から一生消えることはないのだろうか。それともそのうち消えていくのかな、もうそんなことどうでもいいが。あいつを愛したばかりに。
だが、その感情も二人の子供の事を思えば紛れる。真也が残したたった一つの敏和への贈り物。それは敏和に確かな生きがいを与えた。
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