チワワと一六タルト

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 しかし、犬というのは胃もたれはしないのでしょうか? 一六タルトが大好きな私でも、さすがに丸々一本食べるのはきついです。 たった3kgほどの体でその偉業を成し遂げた彼女はかなりのフードファイターと言えます。 嘘です。サバを読みました。彼女は当時、4キロ近く体重があったと思います。 チワワは2キロくらいが普通らしいので、普通の倍近くになります。  そう、彼女の食い意地はそれほどでした。 4キロにしても、一六タルトを一本食べるというのは、やっぱり偉業だと思います。  次の日、彼は仕事でした。 一六タルトを持ち込んだのも私、机の上に無防備に放置しておいたのも私、責任は私にあります。 チワワを動物病院に連れていくのは、必然的に私でした。  私はちゃんとしたペットを飼ったことがなかったので、動物病院は初めてでした。 (ちゃんとしてないペットの話はまた後日)  受付で聞かれました。 「どうされましたか?」 どう答えればよかったのでしょうか。 私は素直に答えました。 「一六タルトを一本食べました……」  受付の方はもちろん、待合室中が振り向きました。  私は初めての動物病院でパンパンの彼女を抱いてみんなに注目されていました。  お医者さんは聴診器でお腹の音を聞いていました。 「うん、正常ですね……」 彼女は正常でした。 そして、整腸剤が出されました。 後日、無事に排出され、彼女はチワワに戻りました。 よかったです。本当に。  そんな彼女はすっかりおばあちゃんになりましたが、今でも家にいます。  体重が体重なので足腰が弱くなり、ほとんど部屋のすみのマットで寝ています。  でも、娘の食べる赤ちゃんせんべいを奪い取るくらいなので、食欲は健在です。  長生きしてほしいものです。
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