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白い肌の頬を伝う涙の粒が、キラキラと輝いて綺麗だ。
「拓に仕返しするつもりで東京まで来たのに。逆に、拓に仕返しされてしまったよ」
「ああ、返り討ちにしてやったぜ」
俺がおどけて言うと、咲は少し悔し気な表情を浮かべて「くっ……」と歯ぎしりをした。
俺は真顔に戻って、咲を見つめた。
「なあ、咲……」
「なんだ?」
「俺からの告白を、仕返しなんて言うなよ。これは、いわば……『想い返し』とでも呼んでくれ」
「想い返しか……悪くない言葉だな」
「悪くないどころか、いい言葉だろ?」
咲は俺の顔を見つめて、はにかんだ顔でひとこと、
「うん」
と、嬉しそうにコクンとうなずいた。
耳たぶまで真っ赤になって照れた咲の顔は、それはもう滅法女の子っぽくて、この世界中の誰よりも可愛かった。
== 完 ==
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