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そして話題は俺が東京のどこに住んでるかとか、今現在の話になった。
そう言えば俺たちは連絡先を交換してなかったから、俺の東京での暮らしぶりはほとんど咲に教えてなかった。
そんなことにお互いに今さら気づいて、改めてスマホの連絡先交換をしようと咲が言った。
なんだか改めて連絡先交換をするなんて、ちょっと照れる。
いや……今さら気づいた、なんてもちろん嘘だ。
俺は高校を卒業してからスマホを持った。だから東京に引っ越す直前に、咲と連絡先の交換をしようかと何度か考えた。
しかし叶わぬ恋の相手の連絡先は、単に未練を長引かせるだけだと思ってあえて聞かなかったのだ。
その時は咲の方からも、連絡先を交換しようとは言ってこなかった。
あの頃の咲にとっては、俺はどういう存在だったのだろうか。
もちろん、やっぱり、親友と思ってくれてたのだと思うけど。
俺はふと会話の切れ目に、ボソッと咲に問いかけた。
「俺たちの関係って……」
「親友だよね」
咲は即答する。
それは、まるでこの話題を拒否するようにも思えた。
「そう言えば今夜は町の夏祭りだ。一緒に行かないか?」
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