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ふと思い出したように咲はそう言って、話題を変えた。
「ああ。昔はよく一緒に行ったな。懐かしいな」
「だろ?」
咲も嬉しそうに、ニヤッと笑う。
夜に神社で待ち合わせをすることに決めて、俺は一旦実家に帰ることにした。
そして咲との待ち合わせの時間になった。
待ち合わせ場所に現れたのは──
今まで見たこともないくらい女の子らしい、浴衣姿の咲だった。
赤い柄の浴衣にピンク色の帯。
そんな咲の姿はあまりに可愛くて、俺は思わずぽかんと口を開けて見入ってしまう。
「咲……まるで女の子みたいだ」
「バカやろう。ボクだってたまにはこんなカッコもするんだよ」
顔を真っ赤にして、咲は視線をそらした。
ちょっと失礼なことを言ってしまったと後悔する。
俺たちは夜店が立ち並ぶ神社の境内を見て回った。
わたあめ、金魚すくい、お面。
縁日定番の店を堪能する。
やがて少し歩き疲れて、俺たちは並んで、神社の拝殿の石段に腰掛けた。
二人して縁日の喧騒をぼんやりと眺めながら、取りとめのない会話にふけっていた。
そういえば、咲には彼氏はいるのだろうか?
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