同級生

5/8
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
  「つまらない仕事なんか辞めちゃえよ。僕と組めば、いっぱい稼げるよ。世間を、あっと言わせちゃおう!」 「そうだなっ。そうしよう!」  俺は早速、職場に連絡を入れた。今すぐ退職させていただきます――ふざけるな、と上司は怒鳴ったが、昔の俺のドスが利いた声でスゴんだら、もう来なくていい、と電話を切られた。ふん。根性無しめ。いつかブン殴ってやろうと思っていただけに、スカっとした。 「流石だね。全然昔と変わっていない。そのスゴみ、健在だ。悪だねぇー」  右手でハンドルをだんだんっ、と叩いて無邪気に唐松が喜んだ。「ホント、何も変わってない。いいよ、三神! 最高だっ」 「そうそう性格が変わるかよ。猫被ってるだけだって。ネチこい嫌味上司が居たから、辞めてせいせいしたぜ」 「じゃあ、現場に行くからさ、仮眠取ってくれていいよ。結構ハードなんだ。体力温存しておいてくれよなっ。あ、ジュースでも飲む?」 「おー、サンキュー」  唐松からパックのジュースを受け取った。飲んだ途端、暖房が利いた車内が快適であっという間に眠りに就いた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!