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「つまらない仕事なんか辞めちゃえよ。僕と組めば、いっぱい稼げるよ。世間を、あっと言わせちゃおう!」
「そうだなっ。そうしよう!」
俺は早速、職場に連絡を入れた。今すぐ退職させていただきます――ふざけるな、と上司は怒鳴ったが、昔の俺のドスが利いた声でスゴんだら、もう来なくていい、と電話を切られた。ふん。根性無しめ。いつかブン殴ってやろうと思っていただけに、スカっとした。
「流石だね。全然昔と変わっていない。そのスゴみ、健在だ。悪だねぇー」
右手でハンドルをだんだんっ、と叩いて無邪気に唐松が喜んだ。「ホント、何も変わってない。いいよ、三神! 最高だっ」
「そうそう性格が変わるかよ。猫被ってるだけだって。ネチこい嫌味上司が居たから、辞めてせいせいしたぜ」
「じゃあ、現場に行くからさ、仮眠取ってくれていいよ。結構ハードなんだ。体力温存しておいてくれよなっ。あ、ジュースでも飲む?」
「おー、サンキュー」
唐松からパックのジュースを受け取った。飲んだ途端、暖房が利いた車内が快適であっという間に眠りに就いた。
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